The Sea of Kazan

「The Sea of Kazan」 渡辺崋山が見た海

 「渡辺崋山は江戸時代後期の画家であり、学者である。また、江戸勤めの三河国田原藩士の家に生まれた崋山は、生涯の大半を江戸で過ごし、藩の年寄役として藩政改革に取り組み、藩財政の再建を行った有能な政治家であった。」(本文より)

 

 激動の前夜、時代の転換期を生きた渡辺崋山が「蛮社の獄」で江戸を追われて行き着いた渥美半島の田原。やがて自害することになるまで過ごした人生最後の時間に、崋山が見たであろう田原の海。そして崋山の眼差しとは…。

 

「追放された最果ての地の荒涼とした海原は、崋山の無念、諦観を無関心に嘲笑ったのではないか。そのやむことのない不規則な波音は、生と死のはざまの不可解さを残酷に提示し続けたのではないか。そんな勝手な妄想を抱きながら私は撮影に臨んだ。」(あとがきより)

 

 渡辺崋山の生涯についての文章と、晩年に崋山が見たであろう海の写真で構成した写真集です。

 再び大きな転換期を迎えていると言われる今の時代に、崋山の眼差しに思いを馳せながら写真集を眺めるひと時。幻想的な田原の海の写真は何を語りかけてくるのでしょうか。

 

 この写真集の装幀を手がけたのは、ブックデザイナーの湯浅哲也氏です。造本の歴史に造詣の深い氏の軽やかでありながら綿密に配置された写真とテキスト、そして繊細でしなやかな造本設計は、豊かな詩情を湛え、ページを捲って本を見る喜びを湧き立たせます。

 海外との架け橋として国内外で活動している笠松真紀氏と、日本の大学で教鞭を執り、崋山の研究も行っているGregory Lewis Rohe 氏の翻訳した美しい英文テキストが、写真集の世界を大きく押し広げています。

 熟達の印刷技師の手による写真・本文頁を観音開きの表紙で包み、美しさと耐久性を兼ね備えた深紅の蝋引き糸で綴じました。

 

 

 

2023.10 

48頁 表紙観音開き

糸がかり製本(蝋引き糸・三ツ目綴じ)

148×210mm

セルフ・パブリッシング

 

写真・文 神谷俊月

装幀   湯浅哲也

翻訳   笠松真紀・Gregory Lewis Rohe

印刷   コロンブックス

The Sea of Kazan(準備中)

¥3,300

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